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2016.7.27 テクニカル分析の科学的アプローチ (4)「金融市場におけるフラクタル性とカオス性」

回を重ねる度に参加者が増え,やりがいを感じております.今回は「エリオットの自己相似」と「マンデルブロのフラクタル」の違いをご説明させて頂きました.エリオットはタイプ(1)のフラクタルであり,マンデルブロはタイプ(2)と(3)のフラクタルであります.ゆえに,両者の思想は異なりますので,区別しましょう.特に,マンデルブロのフラクタルは金融市場 (というかブラウン運動) の普遍的な性質ですが,これをエリオット波動理論の妥当性の根拠にすることはできません.

質疑応答のまとめ

Q.1 カントール集合の次元について
次元は0.63...ですから,点(0次元)と線(1次元)の間と説明すべきでした.訂正します.
Q.2 ボラティリティの予測可能性と収益性について
ボラティリティは正の自己相関構造 (短期記憶性) を持ちますので,ある程度予測可能です.次回のセミナーでは「GARCHモデル」で表現できることをご説明します.
しかし収益性について難しいかもしれません.今のボラティリティが「しばらく維持する」ことは予測できるのですが,さらに「増えるのか or 減るのか」は分かりません.ですので,オプションのストラドル戦略を組んでも,ボラティリティは減ってしまうかもしれません.(ボラティリティが高いほどオプションの価格は高いので,ボラティリティが増えてくれないと儲かりませんよね)
Q.3 頂戴したメールにおけるやりとり
Q. 例えばバブルのような特定の状況だけに着目すれば,金融市場であっても,例(1)のように扱うこともできるのではないでしょうか?
わたしも同感です.効率的市場仮説(ランダムウォーク理論)が正しければ,バブル現象は起きないはずです.しかし現実に起きているわけですから,そこにはランダム以外の仕組みがあるはずです.

Q. バブル的加速とそれに続く反落反発を数多く経験し,何かしらの規則性があるように思えてなりません
カオス理論が流行った時に,このような議論が良く行われました.セミナーでも,収穫逓増や収穫逓減の用語を交えてお伝えしました.私も,何かしらの規則性があると信じています (自己相似でなくても良い).しかし,なかなか見つからないのです... そしてカオスブームが静かに去りました.
ですが,近年においては,機械学習 (人工知能の一種) の方法を利用して,コンピュータに法則性を探してもらう研究をしております.(コンピュータは文句も言わず黙々と探してくれますので)

Q. 実際,チューダーやソロスなどはフラクタルという言葉こそ 使っていませんが,過去のバブルとのアナロジーからバブル崩壊を予測しています
過去に習うという発想は,まさに機械学習ですね.法則はフラクタルでなくても,なんらかの法則が存在し,データからその法則を学ぶことができれば,予測はできるようになります.偉人たちは,経験から法則性を学習したのだと思います.

Q. べき乗則を発展させた式を使ってバブルの説明を試みる研究者もいる,と聞き及びます
おそらく,ソネット先生 (物理学者) ですね.前回ご説明した砂山モデルの発想で,べき乗則やバブル現象を説明しています.


次回は,10月より第二部の「時系列解析&機械学習」をセミナーします.少しづつ市場予測や実務に近づいて行きますので,もしご興味ございましたら,ぜひいらしてください.よろしくお願い致します.


2016.6.28 テクニカル分析の科学的アプローチ (3)「物理学によるEMHへの反論」

益々多くの方々に御来場いただき,誠にありがとうございました.次回は,諸説乱れるフラクタルについて整理したいと思います.特にエリオット波動理論はEMHと同様,金融市場のメカニズムに関する仮説の1つですが,どこまでが自然科学で言うところのフラクタルをフォローし,どこがフラクタルを超越した概念なのかを分別したいと思います.(エリオット波動理論を批判するつもりはありませんので,エリオットファンの方も安心してご参加ください^^)

質疑応答のまとめ

Q.1 取引が成立する瞬間において売り方と買い方は同数であるはずなのに,イジング模型の白黒模様はそうなっていない.なぜか?
確かに約定時において売買枚数は同数ですが,イジング模型の白黒模様は「投資家らの心理(売りたい or 買いたい)」だとお考えください.もしくは,板の状態と考えても良いかもしれません .
Q.2 物理モデルでは,高ボラティリティー時に価格が低下する傾向など,実務的要素も反映しているのか?
今回ご説明したモデルにおいては反映していません.たしかに高ボラティリティー時はリスクを恐れ,売りを呼ぶ(株安)傾向になりがちです.しかし今回のお話は,磁石や砂山など実際の自然現象とのアナロジーに着眼したため,金融市場特有のミクロ現象はフォローしていません.しかし飛行機が鳥を真似て翼を付けたがバタつかせなかったように,自然現象のメカニズムを利用しつつもアレンジすることでモデルを高度化することも当然可能です.この場合,教科書的な一般的解説を離れ,具体的な研究としてのフェーズに移行したといえるでしょう.
Q.3 実データ解析においてデータサンプル数は有限であるので,確かにベキ分布だといい切れるのか? ハースト数などのベキ指数は厳密に推定できるのか?
厳密には不可能でしょう.横軸が大きいほどサンプル数が減りますので,たとえベキ分布でも正規分布のように減衰してしまいます.そこをカットオフ領域として切り捨て,それ以外の部分でベキ指数を推定するのが一般的です.ですが,本当はそもそもベキ分布でなかったのかもしれません.
特に収益率データの場合,週足や月足などの長い時間スケールで分布を見ると正規分布に近づきます.この点からも厳密にベキ分布だと言い切れない余地があります.(根本がベキ分布なら,中心極限定理を働かせてもベキ分布(分散は発散したまま)を維持するはずです.)


次回は7/26(火)です.「金融市場におけるフラクタル性とカオス性」をお伝えします.詳細は,NTAAホームページ(http://www.ntaa.or.jp)をご確認ください.
なおNTAA会員であれば,本セミナーの動画を協会ホームページ(http://www.ntaa.or.jp)よりご覧いただけます.



2016.5.24 テクニカル分析の科学的アプローチ (2) 行動経済学によるEMHへの反論

前回よりも増して多くの方々に御来場いただき,誠にありがとうございました<(_ _)>
今後とも直感的に理解できるように(眠くならないように)努力していく所存です.

質疑応答のまとめ

・確実性効果について,たしかにシャープレシオSrのようにリスクも考慮すれば,確実性 (リスク=0) は大変魅力的ですね(Sr=無限大なので).
・観測の時間スケールを大きくするほど,たしかにベキ分布が正規分布に変形していく様子を観測できます.おそらく中心極限定理がより強化されるから (ステップ数sが増えるので) だと思われます.

頂戴した有益情報

・日本株版トレードステーションがマネックス証券よりリリースされ,EasyLanguageによるプログラミングによって自動トレードシステムを構築可能!(株でもメタトレーダーのような自動売買が可能に!!)
・さっそく口座開設&パンフレット請求完了.
・ただしEasyLanguageは簡易プログラムのようなので,高度な機械学習を構築するにはMatlabを使うのが良さそう.
・以前,メタトレーダーとMatlabを合体させたことがあるので (発表論文は最近の論文メモのシストレにあります) ,今後は「トレードステーション + Matlab = 機械学習トレード」を構築する.(いままでデータの取得で難儀していたオートエンコーダの研究成果を試せるかもしれない)


次回は6/28(火)です.「物理学によるEMHへの反論」をお伝えします.詳細は,NTAAホームページ(http://www.ntaa.or.jp)をご確認ください.
なおNTAA会員であれば,本セミナーの動画を協会ホームページ(http://www.ntaa.or.jp)よりご覧いただけます.


2016.5.4 CPPIの考察

ポイント

・ CPPI: Constant Proportion Protfolio Insurance
→ 最低価値の保証を付けたポートフォリオの動的リバランス.利益が出たら投資資産に追加し複利効果を狙う.損失が出たら最低価値をキープしつつ,投資資産を減らす(リスク回避).
・もし,市場がランダムウォーク(リターン変化に時間記憶性が無い)ならば...
→ 取引回数が多いほど最低保証額まで資産を失う.ただし,宝くじ的に圧勝する場合もあるため「平均値>中央値」となる(獲得利益はポワソン分布).
・もし,市場がアップトレンドならば...
→ 「平均値>中央値」の傾向は同様だが,取引回数を増やすほど指数関数的に利益が伸びる.
・したがって,CPPIは「トレンドフォロー型」の戦術である(非ランダムウォークを想定).

具体例

初期資産E(1)=100億円, レバレッジ5倍,死守する資産=90億円 の場合,
投資額S(1) = (100億円-90億円)×5倍 = 50億円.

<<長所>>
・翌日に株式市場10%上昇すると...
 資産E(2)=105億円, 投資額S(2) = (105億円-90億円)×5倍 = 75億円.
・翌々日に株式市場10%上昇すると...
 資産E(3)=112.5億円, 投資額S(3) = (112.5億円-90億円)×5倍 = 112.5億円.(連続勝利すると複利で伸びる!)

・翌日に株式市場10%下落すると...
 資産E(2)=95億円, 投資額S(2) = (95億円-90億円)×5倍 = 25億円.
・翌々日に株式市場10%下落すると...
 資産E(3)=92.5億円, 投資額S(3) = (92.5億円-90億円)×5倍 = 12.5億円.(連敗してもダメージは軽減される!)

<<短所>>
・翌日に株式市場10%上昇し,翌々日に株式市場10%下落すると... (つまり勝ち負けが振動)
 資産E(3)=97.5億円, 投資額S(3) = (97.5億円-90億円)×5倍 = 37.5億円.(勝率50%なのに損してしまう...)
・翌日に株式市場10%下落し,翌々日に株式市場10%上昇すると... (逆パターンの振動)
 資産E(3)=97.5億円, 投資額S(3) = (97.5億円-90億円)×5倍 = 37.5億円.(上記のケースと同じ.)

<<結論>>
・市場の上昇が連続すると複利効果で利益は伸びるが,振動しただけで利益が減る(連続下落でも当然減る).
 → トレンドフォロー型の戦術である.

モンテカルロシミュレーション

<<方法>>
・市場がランダムウォークであることを想定.
・取引回数を固定しつつ,同一条件によるシミュレーションを100万回実行.獲得利益の分布を得る.
・取引回数をパラメータとして可変させつつ,分布の変化(平均値と中央値)をしらべる.
・Matlabブログラム Monte.m

<<結果>>

横軸: 取引回数, 縦軸: 獲得利益 (青:平均値, 赤:中央値)

<<結論1>>
・市場がランダムなら,取引回数が多いほど最低保証額(70)まで資産を失ってしまう...
・これは上記の議論(勝ち負けが振動しても負ける)に起因している.
・ただし,宝くじ的に圧勝する場合もあるため「平均値>中央値」となる.つまり獲得利益はポワソン分布になる.
<<結論2>>
・市場が上昇する確率を60%(つまりアップトレンド)にして同じシミュレーションをしてみた.
・「平均値>中央値」の傾向は同様だが,取引回数を増やすほど指数関数的に利益が伸びた.
・この点からも,CPPIはトレンドフォロー型の戦略と言える.









2016.4.26 テクニカル分析の科学的アプローチ (1) ガイダンス

みなさま,初回ガイダンスにも関わらず積極的にご参加くださり,誠にありがとうございました!
初回ゆえハリキリ過ぎて早口になってしまいましたが,興味のタネをたくさん撒ければと意気込みました.次回より,そのタネを少しづつ果実に変え,みなさまのお役に立てますと幸いです.

さて,質疑応答およびセミナー後に以下のような,ご質問やアドバイスを頂きました.
・CPPI (Constant Proportion Portfolio Insurance) のアドバイス
・フォーワードテストから実践へ継続する際の判断基準は?
・バックテスト&フォーワードテスト時にどのような市場を前提としているか?
などのご質問を頂きました.

まず,CPPIでは市場がランダムウォークでも利益を得られるから,予測精度と利益を分離して評価した方が良い,とのご意見を頂戴しました.実は私自身CPPIを存じておりませんで,大変ありがたい御指摘です.こういった新発見(私にとって)を得るためにも,セミナーをやって良かったと思います.早速調べますとオプション取引に近い概念であると分かりました.しかし,ランダムウォークでも利益を得られる点について不思議を感じています(これから更に勉強を進めて参ります).似たような話にドルコスト平均法があり,こちらは時間分散によってリスクが低減すると解釈できるのですが,このようなロジックを見つけたいと思っています(分かり次第,本ブログに追記します).

次に,フォーワードテストにおいても「実力」と「まぐれ」を分離できませんが,対策は2つあります.まずは統計的仮説検定(実力0との勝負)です.この場合,実力0以上 or 実力0程度の2者択一になりますので,実力がどの程度なのかは不明です.もし実力の程度までも知りたい場合は「サンプル数を増やして」大数の法則を効かせるしかありません.たとえば今月初めのNTAAセミナーにて,伝説の先物ディーラであられた本河氏による御講演がありましたが,1日に数百回もの取引を行い,それを20年間も続けて充分な利益を得たとのことです.この利益額は完全に「実力」による統計量だと解釈できます.膨大なサンプルによって大数の法則が働き,経験的勝率は真の勝率(実力)へと収束したはずです.(つまり,まぐれ→0).このような方が実在すること自体が,効率的市場仮説の反証になると思います.

最後に,金融市場の構造が動的に変化していることを鑑みれば(時変係数を持つARモデルなど),バックテスト&フォーワードテストは動的にシフトさせながら実施すべきでしょう.これを「ウォークフォーワードテスト」と呼び,新規データを観測するたびに古いデータを捨てながら「パラメータ学習・複雑さの最適化・汎化能力のテスト」をやり直します.新しいデータを使用できるメリットがありますが,サンプル数を増やせませんので上記の大数の法則が働きません.よって最終的には,統計的仮説検定(実力0との勝負)によって妥当性を検証することになります(このテストに受かれば,実践へ継続する).なお,詳細については非常に複雑になりますので(時系列モデルの予備知識も必要),以後のセミナーにてご紹介します.


NTAA会員であれば,本セミナーの動画を協会ホームページ(http://www.ntaa.or.jp)よりご覧いただけます.ぜひ今後も受講して頂けますと幸いです.

次回は5月下旬です.「行動経済学によるEMHへの反論」をお伝えします.詳細は,NTAAホームページ(http://www.ntaa.or.jp)をご確認ください.













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